オーディション断念

 パチンコをやめて久しいが、パチンコ動画だけは日課のように観ている。
 パチンコが観たいというより、演者の会話や動画の演出が面白いからだ。
 ある日、いつものように動画を観ていると
『プロ・アマ問わず。参加資格は電車賃とやる気だけ。』というオーディションの告知が目に入った。
応募する気満々で、想像の中ではすでに受かって、番組に出演するにあたり現実的な問題に頭を悩ませていた。
 その番組を収録するのは静岡・愛知・岐阜などの地域が多く、近くて東京・千葉・埼玉だ。
まあ、場所は良いとして、問題はノリ打ちとギャラである。
 ノリ打ちとは複数人がチームとなって、自腹で遊戯代を出し、チームのトータル収支がプラスなら山分け、マイナスなら均等に負け分を負担するというルールである。
番組が補填してくれるのか?
本当に自腹なのか?
今のとこ、その情報はない。
新人の演者のギャラは高が知れている。
あくまで推測だが、ギャラが2万円プラス交通費だったとしよう。
毎回ノリ打ちで負けていたら、たまったもんじゃない。
それに台の原作にも好き嫌いがあるので、毎回好きな台を打てない。
仕事としてするなら、自腹を切って近所のホールで下調べをしたり、スペックを暗記したりとかなりの経費と労力が生じるだろう。
縁はあったが、結ばなかった。
そういう結論に達した。

 若ければ、間違いなく応募していただろう。

次回へつづく